障害者総合支援法での補装具費支給②

法律の手話
8月29日のこのコーナーで、総合支援法での補聴器について書きました。

法律内容は、平均聴力が右80数dB、左90数dB。障害者手帳は当然4級(高度難聴)。
これまで福祉での補聴器購入の経験は無し。
両耳に自費購入の補聴器装用中だが左補聴器故障で、新規に福祉での補聴器購入希望。
医師の意見書では左耳に重度難聴用補聴器が必要。

医師からの意見書通り、重度難聴用補聴器の申請をしたのですが、東京都の審査で手帳4級なのに重度用ということでひっかかってしまいました。
東京の手話
通常は書類審査だけで認められることが多いのですが、今回はお客様が審査に出向くことになりました。

結局正式に重度用補聴器で認められたのですが、見積書を提出してから認められるまで、2ヶ月以上かかってしまいました。

今回の件で私は何も言うことはありませんが、普通、今回のような聴力のケースでは、

聴力の良い方の耳に福祉での補聴器、聴力の低い方の耳には補聴器を装用しないか、自費で補聴器を買いなさいということになります。
聴力の低い耳が補聴器の効果がないほど悪い場合は別ですが、両耳装用の効果が認められる方に対しても、福祉での助成が片耳分しか認められないというのは、考え方が古い(おかしい)ですよねえ…。
身体障碍者の手話

補聴器フォーラム2018②

サウンドデモ
先日このコーナーで、補聴器フォーラム2018について私は残念ながら仕事があって参加できそうにないことを書きました。

ところが23日の仕事は思ったより早く終わったため、終わり間際の1時間ほどフォーラムを見学することができました。

私がいた時間はそれほど込み合ってはなく、ガラガラとういう状況でもなかったので、見て回るのにはちょうど良い感じでした。
会場写真
2日間で2500人くらいの来場者を予定していたようですが、ちょうどそれくらいの入場者があったのではないかと思います。

内容としては舞台のアトラクションを除けば前回前々回と大きな違いはないので、私にとっては目新しいものは特にないのですが、補聴器ユーザーやこれから使用を考えている方、またはそのご家族の方々にとっては色々と知ることが出来る場になったことでしょう。
会場写真
両日とも市民公開講座が開かれ、ドクターによる講演がありました。
テーマは「難聴・耳鳴りと補聴器」でしたので、現在耳鳴りでお困りの方や、難聴で補聴器を…とお悩みの方にとっては参考になるお話しが聞けたことだと思います。

また。難聴児教育セミナーでは、大学教授による「聴覚障害児の補聴とことば(日本語)の指導」をテーマにした講演があり、難聴児を持つ保護者の方々にとっては貴重なお話しが聞けたのではないでしょうか。
会場写真
メーカーの展示コーナーでは少し気になったことが…。

一般の方にも分かり易い言葉で説明しているメーカーは、参加者にとって意味あるものだと思いますが、一般の方に対して難しい話をしているのを見かけました。補聴器フォーラムスターキー???ですね。
会場写真
メーカーセミナーには販売店の方などしか参加できませんので、しっかり聞いても分かったようで分からないような難しい話が多かったのではないかと思っています。(私はどのメーカーの話も聞いていませんので、あくまでもイメージです。)

補聴器フォーラムシグニアほとんどのメーカーで新製品が出たばかりかこれから出るという時期で、ものすごく良い性能や機能の話が盛沢山だったのではないかと思います。今の補聴器でもすごい性能なので、これ以上良くなっても人の耳で違いを感じられるのかどうか、個人的には疑問に思っています。
会場写真
それから難聴の方にとっての便利機器が、様々なブースで展示されていました。
これは私たちも勉強していく必要がありますね。
会場写真
会場写真
また、補聴器販売店協会担当者による補聴器相談コーナーもありましたので、いきなり販売店に行って高額な補聴器を勧められたら…とか、補聴器を着ければ昔と同じように聞こえるのだろうかというような、不安や疑問をお持ちの方にとっては解決の場になったのではないでしょうか。
会場写真
アトラクションで、私はフラダンスの時間帯にしか会場にいませんでしたが、ハワイアンバンドやダンスエクササイズ、トークショーなども、きっと楽しい催しだったのと思います。
当店のお客様の中でも「昨日行ってきたよ。」と、フォーラムに参加しての感想やメーカースタッフに教わったことなどを、いろいろと話してくださった方もいらっしゃいました。
その方にとってはとても有意義な場だったようです。

今後も2~3年ごとの開催が続くことを期待しています。ただ、すでに補聴器を使用している方であれば2~3ヶ月くらい前から販売店で来店者にPRすることができますが、聞こえにくい自覚はあるが補聴器は持っていないという方にもっと多く参加していただくために、PR方法をさらに考えていく必要はあると感じました。

JAPAN補聴器フォーラム2018

補聴器フォーラム
9月22日・23日の二日間、JAPAN補聴器フォーラム2018が開かれます。
会場は秋葉原UDX イベントスペース アキバ・スクエア、開催時間は22日が10:00~17:00、23日が10:00~16:00。

フォーラムセミナー内容

  • 市民公開講座「難聴・耳鳴りと補聴器」
  • 親と教師のための難聴児教育セミナー
  • 補聴器メーカーによる事業者向けセミナー

フォーラムイベント内容

  • 認定補聴器技能者による補聴器相談
  • 補聴器メーカーによる補聴器展示、紹介
  • 周辺機器、便利機器の展示、紹介
  • 毒蝮三太夫トークショー
  • 補助犬デモンストレーション
  • その他ハワイアンバンドとフラダンスのミニステージ等
会場写真
会場写真
会場写真
セミナーは事前申し込みが必要となっています。
今年で3回目のフォーラムになり、過去には2013年と2015年に開かれ、どちらも大盛況でした。
ただ、2015年は会場のつくりや狭さでやや??ということもありました。今回は初回と同じ会場となり、さらに盛況となることが予想されます。

私は仕事があって参加できないのが残念です。
参加して何か良い情報が得られたという方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。

フォーラムの詳細についてはこちらをご確認ください。

セミナーの申し込みはこちらより。

障害者総合支援法での補装具費支給で…

補聴器
先日、“目から鱗”という出来事がありました。

聴覚障害で障害者手帳を持っている方は、申請すれば補聴器購入時に一定額の支給を受けることが出来ます。
一般的には2級・3級の方は重度難聴用耳かけ型補聴器(67,300円)、4級・6級の方は高度難聴用耳かけ型補聴器(43,900円)の90%の金額の支給を受けることが出来る。
店舗
申請は前回申請から5年以上経過しないと再申請出来ないが、大きな故障などで修理に高額な費用がかかる場合などでは、例外的に5年以内でも申請が認められる場合がある。

また高度難聴と重度難聴での上記の金額の他、イヤモールドやダンパー入りフックが必要な場合や、耳かけ型が装用出来ない方で耳あな型補聴器が認められた場合など、もう少し高額な支給を受けられることもある。
通常5年に1回1台(片耳)認められるのが、医師の診断で両耳に補聴器が必要とされた場合には、1回で2台(両耳)が認められることもある。
この前まで補聴器メーカーにいた私でも、上記のようなことは情報として知ってはいました。

お客様と接する現場にいた方にとっては何を今更…、ということなのでしょうが…。
メーカーに勤務していた頃に、たまには販売店に呼ばれて現場でお客様と接して調整や販売を行うことはあったのですが、このような手続きをすることはありませんでしたので、私にとっては知らないことでした。
聞こえない
難聴先日来店されたお客様は、手帳4級(高度難聴)。
今まで、福祉対応での補聴器購入の経験はないとのこと。両耳に自費で購入された補聴器をお持ちでしたが、左の補聴器が故障したということで来店。
買い替えを希望されたので総合支援法について説明。早速、役所に申請し必要書類を持って再度来店されました。専門医の意見書が必要ということで、補聴器相談医を紹介し、その病院へ行っていただきました。
この方の平均聴力は右:80数dB、左:90数dB。

両耳とも90dBを超えると3級(重度難聴)となりますが、この方の場合は両耳とも80dBを超えるという4級(高度難聴)。
医師の意見書は「左耳に重度難聴用耳かけ型補聴器」ということでした。手帳が4級なので高度難聴用と思っていましたが…。

まだ最終的に認められたわけではありませんが、役所に問い合わせたところ、決定するのは東京都だからまだ分からないとしながらも、医師が重度用と指定していて聴力的にその補聴器が必要であれば認められることが多いですよという話でした。
補聴器くん
都道府県によって、あるいは担当者によって考え方が違うでしょうから、必ず認められるということではないのかもしれませんが。

確かに、手帳が4級だからといって高度難聴用補聴器では、この方の左耳にはパワー不足です。考えれば分かりそうなことですが、これまで考えたことがありませんでした。

まだまだ勉強しなければならないことが色々とありそうです。

補聴器6大メーカー ⑥ワイデックス

ワイデックス
1956年にデンマークで誕生したメーカーです。
世界的にはシェア6番目になっていますが、日本では4~5(海外メーカーとしては3~4)番目の販売台数となっています。
グローバルでシグニア(シバントス)と合併が決まったようですので、今後の動向が注目されます。
デンマーク
ワイデックスは、世界初の耳あな型フルデジタル補聴器や、補聴器を装用した状態での聞こえを測定するシステムを開発したメーカーとして知られています。

一般補聴器

  • BEYOND(ビヨンド) [ 440/330/220/110の4クラス ]
  • UNIQUE(ユニーク) [ 440/330/220/110の4クラス ]
  • DREAM (ドリーム) [ 440/330/220/110の4クラス ]
  • DAILY (デイリー) [ 100/50/30の3クラス ]
  • MENU (メニュー) [ 100/50/30の3クラス ]
耳かけ型は形状によって名前が付いています。

耳かけ型

  • PASSION(パッション) RICでPR536電池
  • FUSION(フュージョン) RICでPR41電池
  • FASHION(ファッション)普通のBTE
価格をフュージョンタイプで比較しました。(メニューはBTE)
価格比較表
補聴器
チップ的にもメニューはそろそろ引退が近づいているでしょうか。

一般補聴器の他にパワータイプ耳かけ型、クロス補聴器、障害者総合支援法対応器種などが揃っていますが、小児用補聴器が見当たらないのと、RICタイプにPR48電池を使用出来るものが無いのは残念です。

それから、支援法対応器種で高度難聴者用耳かけ型に5器種もあるのは多すぎるような気がします。
最新器種のビヨンドの性能をみてみると、気になるのは“スピーチエンハンサー”でしょうか。
センソグラムでの聴力から語音明瞭度指数を判断し、その明瞭度指数に適した利得を設定するので、聞き取りを強力にサポートするというものです。

その環境下で可能な限り最高の音声了解度を得るために明瞭度指数に合わせたチャンネルごとの利得設定ということですが、明瞭度指数は聴力レベルから判断していますので、結局聴力レベルに合わせた利得が、環境によってチャンネルごとに変化するということだと思います。
DEX商品画像
テレビ送信機から伝送された音声を直接補聴器で聞くこと、中継器が必要ですが相手の声を補聴器に届けられるマイク、スマートホンとつながり通話音声や音楽や動画音声を補聴器で聞ける機能などは備えています。

また、スマホにアプリをダウンロードすることで、ある程度細かい調節をすることも可能になっています
商品画像
防塵防水のレベルはビヨンドでIP68、それ以外の器種でIP58となっています。

通常使用での汗や湿気はほとんど問題ないレベルでしょう。
商品画像
充電式補聴器は独自のシステムではなく、Zパワーのハイブリッド式で、充電池も空気電池も使用することが出来るものが、ビヨンドシリーズにあります。

補聴器6大メーカー ⑤スターキー

スターキー
6大メーカーの中では唯一ヨーロッパ以外の国で本社はアメリカになります。
1967に設立された、わりと若い会社ですが、最初にオーダーメイド補聴器の製造・販売を開始したメーカーとして知られています。
アメリカ
世界的にみた場合のシェアは5番目ですが、日本では5番目までには入っていないようです。

一般補聴器

  • Halo(ヘイロー)iQ  [ 2400/2000/1600/1200/1000の5つのクラス ]
  • Muse(ミューズ)iQ [ 2400/2000/1600/1200/1000の5クラス ]
  • Halo(ヘイロー)2  [ i2400/i2000/i1600の3つのクラス ]
  • Muse(ミューズ)  [ 2400/2000/1600/1200/1000の5クラス ]
  • Halo(ヘイロー)   [ i110/i90/i70/i30の4つのクラス ]
  • 3シリーズ [ 110/90/70/30の4つのクラス ]
26器種の価格をRICタイプで比較しました。
価格比較表
ヘイロー2やヘイローよりヘイローiQが性能的には上でしょうから、2400の価格については疑問が…。
ヘイロー2 i2400とヘイローi110は必要ない器種に思えます。
ついでに言えばヘイローi70も必要ありませんし、元々1つのシリーズで5クラスは多すぎるように感じます。
補聴器写真
上記の補聴器以外にも、低価格帯の補聴器や、既製の耳あな型、重度難聴者用耳かけ型、障害者総合支援法対応器種、骨導補聴器など、様々な製品がそろっています。
メガネ
最新器種のヘイローiQとミューズiQは、基本的な性能は同じで、性能的な大きな特徴としては

◆会話用と音楽用の2つの処方式を同時に行う。
◆音を立体的に捉えるための手掛かりとなる4000Hz以上の高音域をやや低い音に圧縮して知覚しやすくする。

などがあります。
スクリーンショット
ではこの2つの違いは何かというと、ヘイローiQはスマ–トホンとつながり色々なことが出来るが、ミューズiQはそういうことが出来ないということです。

ヘイローiQはiPhoneとペアリングを行えば電話の会話音声や音楽や動画音声を直接補聴器で聞くことや、スマホのアプリを使用してリモコン機能を持たせることが出来ます。
スクリーンショット
スマホなんて使わないとういう方は、少しお得なミューズiQを選択するということになります。


防水・防塵については、ミューズ・ヘイロー(2・iQを含む)はIP57を取得していますので、普通に使用していての汗や湿気程度であればほとんど問題ないと思われます。
商品画像
ミューズiQには充電式補聴器もありますが、独自の充電システムではなくZパワーのシステムで、充電池と空地電両方を使用することが出来ます。

補聴器の日

補聴器の日
6月6日は補聴器の日です。

補聴器業界ではこれを盛り上げようとしているのですが、一般の方にはまだまだ浸透していないようです。
日本補聴器販売店協会と日本補聴器工業会が1999年に制定したので、もう20年の歴史があります。
補聴器くん
なぜ6月6日かというと二つの意味があります。
一つはロゴ(ロロちゃん)を見て分かると思いますが、6と6を向かい合わせると耳に着けた補聴器に見えるというもの。
もう一つは、聞こえにくくなった耳(3月3日)にもう一つの耳を付けると(3月3日×2)6月6日になるというものです。
補聴器くん
むりやりこじつけた感はありますが、まあ、「〇〇の日」としてあるのは似たようなものでしょうか。

でも、あまり興味のない方に知っていただくためには、何も無いよりは有ったほうが良いのかなと思います。
耳が遠い人
国が出した新オレンジプランには、難聴は認知症の危険因子であるとされています。

つまり、難聴をそのまま放置しておくと認知症になる可能性が高まるということです。

このことは、以前から学会などでは発表されていたことですが、国もそれを認めて動き出したということになります。(実際はまだ何も動いておらず、変わったことはありませんが)

軽い難聴であれば、ご本人は少し困ったり不便だったりするくらいで、これ位なんでもないよと思っている方が多いと思います。

または、困ってはいるけれど補聴器を着けるほどでは…と。
家族写真
実は、本当に困っているのは本人ではなく身近にいる方々という場合も多いのですが、ご本人に向かって「補聴器着けたほうが良いんじゃない?」とは、なかなか言い出せなかったりします。

でも、これを認知症予防と考えてみてください。
遠慮している場合ではなく、提案してあげられるのは家族など身近にいる方しか出来ないことです。

そういうきっかけとなる補聴器の日であれば、むりやり制定したのだとしても、意味あるものだと思います。

補聴器6大メーカー ④リサウンド

リサウンド
会社名はGNヒアリングといい、本社はデンマーク。
昨年会社名が変わり、それまでのGNリサウンドといったほうがピンとくる方が多いかもしれません。
ベルトーンも同じグループ会社です。
デンマーク
国際的には4番目のシェアになっていますが日本では3番目(海外メーカーとしては2番目)に販売台数が多いメーカーになっています。
日本では、6大メーカーの中では唯一直系の販売店を持っておらず、その分多くの補聴器専門店や眼鏡店で取り扱われているようです。

このメーカーが独自に開発してきたものが、今では補聴器業界全般に広まっているものがいろいろとあります。

リサウンドが開発したもの

  • 初めてオープンタイプ(耳を塞いでしまわない補聴器)を開発
  • 現在はどのメーカーでも使用しているハウリング抑制システムの開発
  • 充電式補聴器の開発(残念ながら十数年前は上手くいきませんでした)
  • 補聴器の2.4GHz通信システムの開発
  • 補聴器の2.4GHz通信システムの開発
また外マイク(MIH)タイプの耳あな型補聴器やディンプルシェルはこのメーカー独自の特徴となっています。

MIHは通常の耳あな型より小さく作ることが出来ますし、ディンプルシェルの耳あな型は通常シェルの耳あな型よりずいぶん装用感の良いものになっていて好評です。

一般補聴器

  • リンクス3D (9/7/5の3つのクラス)
  • リンクス² E(9/7/5の3つのクラス)
  • エンツォ3D (9/7/5の3つのクラス)
  • エンヤ   (4/3の2つのクラス)
  • ベア3

補聴器の金額比較

  • リンクス3D ( 9:\490,000 / 7:\330,000 / 5:\220,000 )
  • リンクス²E ( 9:\380,000 / 7:\250,000 / 5:\180,000 )
  • エンツォ3D ( 9:\490,000 / 7:\330,000 / 5:\220,000 )
  • エンヤ ( 4:\140,000 / 3:\120,000 )
  • ベア3 ( \98,000 )
補聴器写真
上記の補聴器の他に小児用のアップスマート(9/7/5)、軽度難聴者用の既製の耳あな型レックス(8/4)総合支援法対応の重度難聴用で、エンツォ5E、アップスマート5E(588)、エンヤ2(288)、ベア2(280)、マッチ90、マッチ80。
高度難聴用で、アップスマート5E(577)、エンヤ2(277)、ベア2(270)、マッチ70など非常に多くの器種があります。(覚えるのが大変です)
総合支援法対応では、性能的にいっても高度用でアップスマート577、重度用でエンツォ5Eとアップスマート588があれば、その他の補聴器の出番はないのでは?と思っています。
耳かけ型補聴器は数字で形やパワータイプを表しています。(外耳道内レシーバタイプをRIE(他メーカーではRIC)と呼んでいます)

◆61 PR41電池を使用するRIE
◆62 PR48電池を使用するRIE
◆70/77 オープン・クローズ切り替え可能な通常のBTE
◆80/88 パワータイプのBTE
◆90/98 スーパーパワータイプのBTE

性能的な特徴としては、おまかせ全自動というのを謳っています。
これは、周りの環境に合わせて各機能が自動で切り替わるものです。

◆両耳連動指向性:声センサーにより環境にあった指向性モードになる
◆環境適応雑音抑制:周りの雑音レベルに合わせて雑音抑制レベルを変更。
◆環境適応システム:環境に合わせてボリュームを変更。
◆空間認識:音源が動いていても方向感や距離感を分かりやすくするもの。

以上が主な内容になりますが、この辺りについてはどのメーカーでもある程度の機能を備えていますので、私の耳では性能の違いを感じることはほとんど出来ません。(上記の機能が有るものと無いものでは違いはありますが、どのメーカーでも上位機種同士を比較した場合は大きな性能差を感じることは出来ませんでした。)
ワイヤレス送信機
リサウンドの大きな特徴といえばワイヤレス機能ではないでしょうか。

テレビに付けた送信器や、話者の近くに置いたマイク送信器からの音声を中継器無しに直接補聴器で受信して聞くことが出来ます。
商品画像
最近、他メーカーでも同じような通信が出来るような器種がいくつか出てきましたが、リサウンドは以前からこのシステムです。
商品画像
ミューズiQには充電式補聴器もありますが、独自の充電システムではなくZパワーのシステムで、充電池と空地電両方を使用することが出来ます。
遠隔サポート
遠隔サポートまた、遠隔サポートも可能で、装用者がリクエストをスマホで送ると、受け取った販売店がリクエストに合った調整を行います。

販売店がそのデータを送信すると装用者はスマホでデータを受信し、受信したデータを自分の補聴器に取り込むことで調整が完了します。もちろん、細かな調整は難しいでしょうが、簡単な調整であれば、販売店へ足を運ぶことなく行うことが出来ます。
撥水コーティングマーク
補聴器の防水・防塵については、IP58となっています。

ただ、補聴器の表面はもちろん内部の部品一つ一つに撥水コーティングがされているので、防水という考え方ではなく、水や汗が侵入しても大丈夫ということを謳っているようです。
商品画像
充電式補聴器もありますが独自の充電システムではなく、Zパワーのシステムで充電池と空地電の両方を使用することが出来ます。

補聴器6大メーカー ③シグニア

シグニア
“シグニア”というブランドは一般の方にはまだ馴染みの薄い名前かもしれません。

1878年にドイツで起こった会社で、1913年に補聴器を出した“シーメンス”というとご存知なのではないでしょうか。

シーメンスという企業は今も存在する巨大な企業ですが、補聴器はそこから離れてシバントスグループに引き継がれ、ブランド名がシグニアとなりました。

レクストン補聴器も同じグループ会社です。

日本の業界では2番目に高いシェアで、海外メーカーの中では一番多く販売されています。
国際的なシェアは3番目ですが、ワイデックスとの合併が合意にいたったようですので、この順位も今後変動するのではないでしょうか。


一般補聴器には現在5つのシリーズがあります。

一般補聴器

  • NX(エヌエックス)  2018年1月~ 7/5/3の3つのクラス
  • Primax(プライマックス) 2016年5月~ 7/5/3/2/1の5つのクラス
  • Orion2(オリオン2) 2015年~
  • Sirion2(シリオン2) 2015年~
  • Intuis(インティス) 3/2の2つのクラス(3:2017年~、2:2015年~)
耳かけ型補聴器の形状で名前が付いています。
Motion(モーション) 通常のBTE
Pure(ピュア) RICタイプ
Ace(エース) PrimaxでPR536電池使用のRIC
耳あな型で特殊なシェル
耳あな型で特殊なシェル
◆COOL(着け外しが簡単なオーダーメイド)
Pure312と同タイプで価格を比較

一般補聴器

  • ◆7NX:510,000  ◆7primax:490,000 ◆Orion2 :160,000
  • ◆5NX:360,000  ◆5primax:340,000 ◆Sirion2:110,000
  • ◆3NX:270,000  ◆3primax:250,000 ◆Intuis3: 90,000
  • ◆2primax:180,000 ◆Intuis2: 79,800
  • ◆1primax:140,000
充電器写真
独自の充電システムを持っていて、NXの全てのクラスのPure(チャージ&ゴー)

タイプとPrimaxの7/5/3/2のクラスのPureタイプが対応しています。(Primaxでは充電タイプをcellion(セリオン)といっています)

充電器に補聴器を置くだけで良いので取り扱いは簡単です。
防水マーク
防水・防塵については、NX耳かけ型(PureとMotion)と、Primaxの充電タイプのCellionがIP68、その他の耳かけ型がIP67となっています。
カラーバリエーション
耳あな型補聴器のシェル(補聴器の機会の部分ではなく周りの部分)のカラーが8種類あって、耳あな型でも色を選ぶ楽しみがあります。
スマホ
ワイヤレス機能を持った補聴器であれば、“Signiaテレケア”というサービスを利用することが出来ます。
これは遠隔操作で補聴器を調整するものです。

細かい調整は対面形式で調整するのが基本ですが、簡単な調整であれば、お客様が販売店へ行かなくても調整を受けることが出来るシステムです。

NXの性能的な特徴は“自声処理機能”です。
特許を取っている機能で、自分の声とその他の音を万別して、自声の増幅をを抑えることにより、会話中の自分の声の違和感を改善するものです。

確かに少し違うような気がします。

iPhoneと連動して電話相手の声を補聴器で聞くことはもちろん、音楽や映像の音声を直接補聴器で聞くことや、スマートホンをリモコンとして使用することも出来ます。
また、テレビの音声も専用の送信機をテレビに接続することで、中継器なしで補聴器で聞けるようになりました。

補聴器6大メーカー ②オーティコン

オーティコン
1904年設立(本社はデンマーク)バーナフォン補聴器も同じグループ会社。

日本でのシェア4~5番手ですが、世界的には2番目に販売台数の多いメーカー。

耳かけ型のフルデジタル補聴器を世界で初めて開発したことが知られています。
デンマーク
補聴器の性能とは別な問題ですが、製品に付いている名前が多いので覚えるのがやや大変。
まず最新器種の「Opn(オープン)」性能の高い方から、Opn1、Opn2、Opn3。
価格はオープン価格となっています。(シャレではありません)
ただ、おおよその価格として、Opn1:55万円、Opn2:30万円、Opn3:23万円
程度に設定している店が多いようです。
形状は3タイプあります。
ミニRITE ・ ミニRITE-T ・ 耳かけ型PP
Opn商品画像
Opnの特徴はいろいろとあるようです。

◆ツインリンク。
この技術は業界初のようで、左右の補聴器の両耳間通信と外部機器との通信を
2つの独立したワイヤレスシステムで行っています。
全方向指向性
◆オープンサウンドナビゲータ。

この説明は難しい言葉が並んで理解するのが大変で…。
理解出来たかどうかも分からないのですが、全方向指向性という考えかなと思います。

これまで全方向指向性というと無指向性を意味していましたが、本当の意味での全方向指向性という感じがします。

私の耳ではその効果をまだ感じたことはありませんが、難聴の方が大勢の集まりなどに参加した場合、その恩恵を受けることが出来るのかもしれません。
音空間認知機能LX
◆音空間認知機能LX。

人は二つの耳で音を捉えた時に両耳の聞こえの差(時間差や音圧差)で音源の方向を知ります。

耳が持っているその本来の機能と同じような働きを、両耳の補聴器が通信しながら再現しようとするものです。

他のメーカーでも同じような機能を持っているものがありますが、大勢の中で会話する場合には効果を発揮しそうです。
スクリーンショット
◆IFTTT(イフト)

世界初で、補聴器がインターネットとつながって、生活が便利になるというものですが、まだハッキリその意味をつかめていません。

今後、その使い方の幅が広がっていけば、“便利”を実感出来るのかもしれません。
充電器
◆充電式

OpnミニRITEは充電式タイプの選択もできます。
通常は充電池を充電しながら使用しますが、充電し忘れた場合などには普通の空気電池も使えます。
Opn1、Opn2、Opn3の違いについては、騒音抑制、音源定位、言葉の明瞭さなどが少しずつ違ってくるようです。

Opn以外の一般補聴器で、まず価格について。
RITE(外耳道内レシーバ型、他メーカーではRIC/RIE)

(2015年5月販売開始)
Alta2Pro(アルタ2プロ)
¥480,000
Alta2(アルタ2)
¥330,000
Nera2Pro(ネラ2プロ)
¥270,000
Nera2(ネラ2)
¥210,000
Ria2Pro(リア2プロ)
¥170,000
Ria2(リア2)
¥130,000
性能差が少しずつありますので、やはり上位器種のほうが騒がしい場所や大勢の集まりでは聞きやすいと思います。
高い音を聞きやすいやや低い音にする周波数変換機能(スピーチレスキュー)は、圧縮ではなく移行という方法を取っているようです。

テレビの音、携帯電話の声、少し離れた人の声などをワイヤレス通信で聞くための機器等は充実しており、また、FMシステムの送信機、受信機も揃っています
高度・重度難聴者用にDynamo(ダイナモ)が10/8/6/4の4器種とSumoDM(スモーDM)がありますが、性能的にSumoの出番はあまりないのかなあという気がします。
補聴器商品写真
小児用のSensei(センセイ)や総合支援法対応器種で、高度用1器種、重度用2器種など補聴器の器種は豊富に揃っています。

ただ、Opnを含めてすべての補聴器の中で、PR48電池を使用するRITEの器種が無いのは少し残念です。
補聴器商品写真
防水・防塵は、Opnと耳あな型全てはIP68。
Opn以外の耳かけ型はIP58を取得しています。
通常使用で汗をかくくらいであれば問題ないと思います。
(毎日のお手入れ乾燥等は必要です。)
補聴器商品写真
最後に音質について。
中高域の音がしっかり出ています。
特に4KHzの周波数辺りは、他のどのメーカーより出力されているのが特徴ではないでしょうか。

慣れないとキンキンとかシャリシャリと気になるでしょうが、明瞭度が上がりやすい音質だと思います。