補聴器6大メーカー ① フォナック

フォナック
1947年スイスで設立。
ブランド名はPHONAKで社名はSONOVA(ソノヴァ)。
ユニトロン補聴器もグループ会社。
ソノヴァグループでは人工内耳も手掛けています。
スイス
日本では販売台数が業界で5番目までに入るかどうかというくらいで、どちらかというとあまり知られていませんが、世界的にみると一番販売台数の多いメーカーです。
現在販売されている一般補聴器は2シリーズ
◆ビロング(B)シリーズ(2016年12月~)
◆ベンチャー(V)シリーズ(2015年2月~)

補聴器の形状で名前がついています。
◆バート(耳あな型)
◆ボレロ(標準耳かけ型)
◆オーデオ(RIC耳かけ型)
◆ナイーダ(パワータイプ耳かけ型)
性能のランクを数字で表わしています。
  • ◆ 90 (プレミアム)(高性能・高価格)
  • ◆ 70 (アドバンス)
  • ◆ 50 (スタンダード)
  • ◆ 30 (エッセンシャル)
現在人気のあるオーデオでの価格の比較
  • ◆B90:\500,000
  • ◆V90:\460,000
  • ◆B70:\350,000
  • ◆V70:\320,000
  • ◆B50:\250,000
  • ◆V50:\230,000
  • ◆B30:\180,000
  • ◆V30:\150,000
ビロングとベンチャーの違いはというと、ここが大きく変わったというのはないようですが、細かい部分で性能・精度が高まったということ。

“静かなところではあまり変わらないかもしれません。でも、騒がしい場所では聞きやすさが変わりますよ”とメーカーの方からの説明がありました。

ただ、私の耳では違いを感じることができませんでした。
子ども向け補聴器
Vシリーズには子供向けの「スカイ」が90/70/50で「こども価格」で販売。

30は軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成制度及び障害者総合支援法対応器種になっています。
チタン性
バートBには材質をチタンに出来るものがあり、1~2万円高くなりますが強度が高いため薄くすることができ、結果的により小さな補聴器にすることができます。
また、独自の充電システムがあり、ボレロB-PRとオーデオB-Rの2器種がこれに対応しています。
防水・防塵
それから防水・防塵の国際保護等級ですが、ビロングの耳かけ型は全てIP68を取得していて水やホコリなどには非常に強いということを示しています。

ベンチャーの耳かけ型は、IP68・IP67・IP57が混在していて、耳あな型はビロングの一部器種だけがIP68となっています。
フォナックの技術的な一番の特徴は、「オートセンスOS」と呼ばれているものでしょう。

カタログの文言をそのまま書き出すと、
“周囲の音環境を分析し、最適なプログラムを自動的に選択・ブレンドする機能”
つまり、その補聴器の周りの環境が白いか黒いのかを判断してそれに合った聞こえに切り替えるのではなく、薄いグレーや濃いグレーなど様々な濃淡に合わせて聞こえを少しずつ変化させていくということだと思います。

30では、ある程度限られた環境内での機能のようですが、90では様々な環境で聞こえ方が変化するようです。

また、「サウンドリカバー」という周波数変換の機能があり、こちらは多くのメーカーで似たような機能はありますが、高い音を少し低い音にして聞きやすくするというものです。

少し低い音にするためにこのメーカーでは“圧縮”という方法を用いています。
ペアリング
ワイヤレス機器で、テレビの音声、携帯電話の相手の声、少し離れた人の声などを無線で飛ばして補聴器で聞くという機器類は充実していますが、スマホとペアリングして音楽や動画の音声を補聴器で聞けるというのはまだないようです。
アプリ
ただ、オーデオB-ダイレクトは、スマホとペアリングすることにより、専用アプリでスマホをリモコンのようにして使用出来ます。
また、電話がかかってきた時に補聴器のボタンを押すと相手の声が聞こえるようになるのですがそれだけではなく、こちらの声が補聴器のマイクを通して相手に届くというのは驚きです。

母体がワイヤレス通信機器の会社だけあって、これまで教育現場でFMシステムを導入した補聴器がほぼこのメーカーで占められていたような状況でした。
補聴器商品写真
昨今では、FMからBluetoothに替わって、ロジャーが教育現場で大きなシェアを占めています。

他のメーカーの補聴器でもフォナック製の受信機を補聴器に付ける(オーデオシューも必要)ことにより、ロジャー送信機からの音声を聞くことができます。
素晴らしい機能を持った補聴援助システムですが、結構高価なため、もう少し安くなると良いのになあ…という声が多いように思います。
最後に音質について…。

言葉の聞き取りを重視した聞こえになっていて、1~5KHzでしっかり音が出ているので、メリハリの利いた明瞭な声に感じると思います。
悪く言えばキンキンしたとか、トゲトゲした音ということになるかもしれませんが、ハッキリした聞こえといえるのではないでしょうか。

補聴器は万能?

小金井補聴器がオープンして2週間が経ちました。
この間に補聴器のご相談にいらっしゃったお店のお客様以外にも、私の個人的な友人たちがオープンのお祝いに大勢来てくれました。
その友人たちの中にはIMG_0041補聴器を使っている方が何人もいました。補聴器を使っている私の友人たちは、基本的には手話でコミュニケーションを取っています。補聴器をしていても音声だけで会話をするのはとても難しいんです。
そんな彼ら彼女らが何故補聴器をしているかというと、音や声に気付くことが出来るからです。職場で補聴器を外していると全く聞こえないけれど、何か音がしたことくらいは気付きたい、声をかけられたこくらいは気付かなければ…。という思いで補聴器をつけている方が多いんです。
補聴器を装用しても全IMG_0037く聞こえない方は多いのですが、そういう方は補聴器を使用することはまず考えません。手話でコミュニケーションを取るけれど補聴器も使うという方は、ほとんどの場合“声は聞こえる”という状況にはなっています。
難聴者のことをあまりご存知ない方は、聞こえていれば伝わっているだろうと思っています。ですが、“聞こえる”ということと“聞き取れる”ということは全く別です。
上の文字を見てもらっても、
①は「こんにちは」と読めるのですが、
②は見えているにもかかわらず、読むことができません。
②も「こ」「ん」「に」「ち」「は」という
文字が並んでいるのですが、見て理解することは出来ません。
上記は“目”で“見た”時の話でしたが、“耳”で“聞く”時も同じようなことが起こっているんですね。
「見えているから分かっただろう」、「聞こえているから分かっただろう」と思うのは大きな間違いということを知っておく必要がありますね。
次回は手話でコミュニケーションを取っているけれど、頑張れば少しは声を聞き取れるという方々について本人も家族も私もビックリ!というお話しをさせていただきます。