補聴器6大メーカー ③シグニア
“シグニア”というブランドは一般の方にはまだ馴染みの薄い名前かもしれません。
1878年にドイツで起こった会社で、1913年に補聴器を出した“シーメンス”というとご存知なのではないでしょうか。
シーメンスという企業は今も存在する巨大な企業ですが、補聴器はそこから離れてシバントスグループに引き継がれ、ブランド名がシグニアとなりました。
レクストン補聴器も同じグループ会社です。
日本の業界では2番目に高いシェアで、海外メーカーの中では一番多く販売されています。
国際的なシェアは3番目ですが、ワイデックスとの合併が合意にいたったようですので、この順位も今後変動するのではないでしょうか。
一般補聴器には現在5つのシリーズがあります。
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NX(エヌエックス) 2018年1月~ 7/5/3の3つのクラス
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Primax(プライマックス) 2016年5月~ 7/5/3/2/1の5つのクラス
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Orion2(オリオン2) 2015年~
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Sirion2(シリオン2) 2015年~
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Intuis(インティス) 3/2の2つのクラス(3:2017年~、2:2015年~)
Motion(モーション) 通常のBTE
Pure(ピュア) RICタイプ
Ace(エース) PrimaxでPR536電池使用のRIC
耳あな型で特殊なシェル
◆COOL(着け外しが簡単なオーダーメイド)
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◆7NX:510,000 ◆7primax:490,000 ◆Orion2 :160,000
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◆5NX:360,000 ◆5primax:340,000 ◆Sirion2:110,000
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◆3NX:270,000 ◆3primax:250,000 ◆Intuis3: 90,000
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◆2primax:180,000 ◆Intuis2: 79,800
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◆1primax:140,000
独自の充電システムを持っていて、NXの全てのクラスのPure(チャージ&ゴー)
タイプとPrimaxの7/5/3/2のクラスのPureタイプが対応しています。(Primaxでは充電タイプをcellion(セリオン)といっています)
充電器に補聴器を置くだけで良いので取り扱いは簡単です。
防水・防塵については、NX耳かけ型(PureとMotion)と、Primaxの充電タイプのCellionがIP68、その他の耳かけ型がIP67となっています。
耳あな型補聴器のシェル(補聴器の機会の部分ではなく周りの部分)のカラーが8種類あって、耳あな型でも色を選ぶ楽しみがあります。
ワイヤレス機能を持った補聴器であれば、“Signiaテレケア”というサービスを利用することが出来ます。
これは遠隔操作で補聴器を調整するものです。
細かい調整は対面形式で調整するのが基本ですが、簡単な調整であれば、お客様が販売店へ行かなくても調整を受けることが出来るシステムです。
NXの性能的な特徴は“自声処理機能”です。
特許を取っている機能で、自分の声とその他の音を万別して、自声の増幅をを抑えることにより、会話中の自分の声の違和感を改善するものです。
確かに少し違うような気がします。
iPhoneと連動して電話相手の声を補聴器で聞くことはもちろん、音楽や映像の音声を直接補聴器で聞くことや、スマートホンをリモコンとして使用することも出来ます。
また、テレビの音声も専用の送信機をテレビに接続することで、中継器なしで補聴器で聞けるようになりました。
補聴器6大メーカー ②オーティコン
1904年設立(本社はデンマーク)バーナフォン補聴器も同じグループ会社。
日本でのシェア4~5番手ですが、世界的には2番目に販売台数の多いメーカー。
耳かけ型のフルデジタル補聴器を世界で初めて開発したことが知られています。
補聴器の性能とは別な問題ですが、製品に付いている名前が多いので覚えるのがやや大変。
まず最新器種の「Opn(オープン)」性能の高い方から、Opn1、Opn2、Opn3。
価格はオープン価格となっています。(シャレではありません)
ただ、おおよその価格として、Opn1:55万円、Opn2:30万円、Opn3:23万円
程度に設定している店が多いようです。
形状は3タイプあります。
ミニRITE ・ ミニRITE-T ・ 耳かけ型PP
Opnの特徴はいろいろとあるようです。
◆ツインリンク。
この技術は業界初のようで、左右の補聴器の両耳間通信と外部機器との通信を
2つの独立したワイヤレスシステムで行っています。
◆オープンサウンドナビゲータ。
この説明は難しい言葉が並んで理解するのが大変で…。
理解出来たかどうかも分からないのですが、全方向指向性という考えかなと思います。
これまで全方向指向性というと無指向性を意味していましたが、本当の意味での全方向指向性という感じがします。
私の耳ではその効果をまだ感じたことはありませんが、難聴の方が大勢の集まりなどに参加した場合、その恩恵を受けることが出来るのかもしれません。
◆音空間認知機能LX。
人は二つの耳で音を捉えた時に両耳の聞こえの差(時間差や音圧差)で音源の方向を知ります。
耳が持っているその本来の機能と同じような働きを、両耳の補聴器が通信しながら再現しようとするものです。
他のメーカーでも同じような機能を持っているものがありますが、大勢の中で会話する場合には効果を発揮しそうです。
◆IFTTT(イフト)
世界初で、補聴器がインターネットとつながって、生活が便利になるというものですが、まだハッキリその意味をつかめていません。
今後、その使い方の幅が広がっていけば、“便利”を実感出来るのかもしれません。
◆充電式
OpnミニRITEは充電式タイプの選択もできます。
通常は充電池を充電しながら使用しますが、充電し忘れた場合などには普通の空気電池も使えます。
Opn1、Opn2、Opn3の違いについては、騒音抑制、音源定位、言葉の明瞭さなどが少しずつ違ってくるようです。
Opn以外の一般補聴器で、まず価格について。
RITE(外耳道内レシーバ型、他メーカーではRIC/RIE)
(2015年5月販売開始)
性能差が少しずつありますので、やはり上位器種のほうが騒がしい場所や大勢の集まりでは聞きやすいと思います。
高い音を聞きやすいやや低い音にする周波数変換機能(スピーチレスキュー)は、圧縮ではなく移行という方法を取っているようです。
テレビの音、携帯電話の声、少し離れた人の声などをワイヤレス通信で聞くための機器等は充実しており、また、FMシステムの送信機、受信機も揃っています
高度・重度難聴者用にDynamo(ダイナモ)が10/8/6/4の4器種とSumoDM(スモーDM)がありますが、性能的にSumoの出番はあまりないのかなあという気がします。
小児用のSensei(センセイ)や総合支援法対応器種で、高度用1器種、重度用2器種など補聴器の器種は豊富に揃っています。
ただ、Opnを含めてすべての補聴器の中で、PR48電池を使用するRITEの器種が無いのは少し残念です。
防水・防塵は、Opnと耳あな型全てはIP68。
Opn以外の耳かけ型はIP58を取得しています。
通常使用で汗をかくくらいであれば問題ないと思います。
(毎日のお手入れ乾燥等は必要です。)
最後に音質について。
中高域の音がしっかり出ています。
特に4KHzの周波数辺りは、他のどのメーカーより出力されているのが特徴ではないでしょうか。
慣れないとキンキンとかシャリシャリと気になるでしょうが、明瞭度が上がりやすい音質だと思います。
補聴器6大メーカー ① フォナック
1947年スイスで設立。
ブランド名はPHONAKで社名はSONOVA(ソノヴァ)。
ユニトロン補聴器もグループ会社。
ソノヴァグループでは人工内耳も手掛けています。
日本では販売台数が業界で5番目までに入るかどうかというくらいで、どちらかというとあまり知られていませんが、世界的にみると一番販売台数の多いメーカーです。
現在販売されている一般補聴器は2シリーズ
◆ビロング(B)シリーズ(2016年12月~)
◆ベンチャー(V)シリーズ(2015年2月~)
補聴器の形状で名前がついています。
◆バート(耳あな型)
◆ボレロ(標準耳かけ型)
◆オーデオ(RIC耳かけ型)
◆ナイーダ(パワータイプ耳かけ型)
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◆ 90 (プレミアム)(高性能・高価格)
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◆ 70 (アドバンス)
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◆ 50 (スタンダード)
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◆ 30 (エッセンシャル)
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◆B90:\500,000
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◆V90:\460,000
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◆B70:\350,000
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◆V70:\320,000
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◆B50:\250,000
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◆V50:\230,000
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◆B30:\180,000
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◆V30:\150,000
ビロングとベンチャーの違いはというと、ここが大きく変わったというのはないようですが、細かい部分で性能・精度が高まったということ。
“静かなところではあまり変わらないかもしれません。でも、騒がしい場所では聞きやすさが変わりますよ”とメーカーの方からの説明がありました。
ただ、私の耳では違いを感じることができませんでした。
Vシリーズには子供向けの「スカイ」が90/70/50で「こども価格」で販売。
30は軽度・中等度難聴児補聴器購入費助成制度及び障害者総合支援法対応器種になっています。
バートBには材質をチタンに出来るものがあり、1~2万円高くなりますが強度が高いため薄くすることができ、結果的により小さな補聴器にすることができます。
また、独自の充電システムがあり、ボレロB-PRとオーデオB-Rの2器種がこれに対応しています。
それから防水・防塵の国際保護等級ですが、ビロングの耳かけ型は全てIP68を取得していて水やホコリなどには非常に強いということを示しています。
ベンチャーの耳かけ型は、IP68・IP67・IP57が混在していて、耳あな型はビロングの一部器種だけがIP68となっています。
フォナックの技術的な一番の特徴は、「オートセンスOS」と呼ばれているものでしょう。
カタログの文言をそのまま書き出すと、
“周囲の音環境を分析し、最適なプログラムを自動的に選択・ブレンドする機能”
つまり、その補聴器の周りの環境が白いか黒いのかを判断してそれに合った聞こえに切り替えるのではなく、薄いグレーや濃いグレーなど様々な濃淡に合わせて聞こえを少しずつ変化させていくということだと思います。
30では、ある程度限られた環境内での機能のようですが、90では様々な環境で聞こえ方が変化するようです。
また、「サウンドリカバー」という周波数変換の機能があり、こちらは多くのメーカーで似たような機能はありますが、高い音を少し低い音にして聞きやすくするというものです。
少し低い音にするためにこのメーカーでは“圧縮”という方法を用いています。
ワイヤレス機器で、テレビの音声、携帯電話の相手の声、少し離れた人の声などを無線で飛ばして補聴器で聞くという機器類は充実していますが、スマホとペアリングして音楽や動画の音声を補聴器で聞けるというのはまだないようです。
ただ、オーデオB-ダイレクトは、スマホとペアリングすることにより、専用アプリでスマホをリモコンのようにして使用出来ます。
また、電話がかかってきた時に補聴器のボタンを押すと相手の声が聞こえるようになるのですがそれだけではなく、こちらの声が補聴器のマイクを通して相手に届くというのは驚きです。
母体がワイヤレス通信機器の会社だけあって、これまで教育現場でFMシステムを導入した補聴器がほぼこのメーカーで占められていたような状況でした。
昨今では、FMからBluetoothに替わって、ロジャーが教育現場で大きなシェアを占めています。
他のメーカーの補聴器でもフォナック製の受信機を補聴器に付ける(オーデオシューも必要)ことにより、ロジャー送信機からの音声を聞くことができます。
素晴らしい機能を持った補聴援助システムですが、結構高価なため、もう少し安くなると良いのになあ…という声が多いように思います。
最後に音質について…。
言葉の聞き取りを重視した聞こえになっていて、1~5KHzでしっかり音が出ているので、メリハリの利いた明瞭な声に感じると思います。
悪く言えばキンキンしたとか、トゲトゲした音ということになるかもしれませんが、ハッキリした聞こえといえるのではないでしょうか。
補聴器は万能?
小金井補聴器がオープンして2週間が経ちました。
この間に補聴器のご相談にいらっしゃったお店のお客様以外にも、私の個人的な友人たちがオープンのお祝いに大勢来てくれました。
その友人たちの中にはIMG_0041補聴器を使っている方が何人もいました。補聴器を使っている私の友人たちは、基本的には手話でコミュニケーションを取っています。補聴器をしていても音声だけで会話をするのはとても難しいんです。
そんな彼ら彼女らが何故補聴器をしているかというと、音や声に気付くことが出来るからです。職場で補聴器を外していると全く聞こえないけれど、何か音がしたことくらいは気付きたい、声をかけられたこくらいは気付かなければ…。という思いで補聴器をつけている方が多いんです。
補聴器を装用しても全IMG_0037く聞こえない方は多いのですが、そういう方は補聴器を使用することはまず考えません。手話でコミュニケーションを取るけれど補聴器も使うという方は、ほとんどの場合“声は聞こえる”という状況にはなっています。
難聴者のことをあまりご存知ない方は、聞こえていれば伝わっているだろうと思っています。ですが、“聞こえる”ということと“聞き取れる”ということは全く別です。
上の文字を見てもらっても、
①は「こんにちは」と読めるのですが、
②は見えているにもかかわらず、読むことができません。
②も「こ」「ん」「に」「ち」「は」という
文字が並んでいるのですが、見て理解することは出来ません。
上記は“目”で“見た”時の話でしたが、“耳”で“聞く”時も同じようなことが起こっているんですね。
「見えているから分かっただろう」、「聞こえているから分かっただろう」と思うのは大きな間違いということを知っておく必要がありますね。
次回は手話でコミュニケーションを取っているけれど、頑張れば少しは声を聞き取れるという方々について本人も家族も私もビックリ!というお話しをさせていただきます。