補聴器の通信販売

質問の手話
素人が他人事として言っているようで申し訳ないのですが、不思議に思っていることがあります。

集音器であれば分かるのですが、デジタル補聴器を通信販売しているのをネット上や新聞広告などで見かけた時に、どんな仕組みになっているのかな??と思っていました。

補聴器と集音器の違いについては、後日また書きたいと思いますが、集音器は簡単に言うとボリュームの上げ下げしか出来ないただ単に音を大きくする機器のことです。
集音器を通販で購入した場合、耳に着けてちょうど良い音量にボリュームを合わせるだけです。
ですが、補聴器はそういうわけにはいきません。

聴力データはどのようにして入力するの?
音質が合わない時の微調整は?
耳せん等の消耗品の交換はどうすれば?
デジタルの手話
故障した時には販売店に送れば解決するでしょうが、それ以外の時はどうすれば良いのでしょうか。
通販元の会社に電話で聞いてみようと思いましたが、電話番号はどこにも載っていません。メールアドレスはありましたのでメールで。

メールなので要領を得ない点も多々ありました。
まず、基本的に調整はせず、ボリューム操作のみで使用する。テジタル補聴器なので、一般的な通販の集音器と比較して、
価格的には結構高いものです。そこそこ高価なのに、その機能をしっかり使わず使用するの?
疑問が残るので再度聞いてみました。
すると、調整は通販会社のショールームか、補聴器メーカーのサポートセンターであれば出来るとのこと。どちらも日本に1箇所ずつです。

有名な補聴器メーカーのものであれば、一般の補聴器販売店で調整してもらうことも出来るでしょうが、そういうメーカーのものではないので、どこの補聴器店でも調整することが出来ません。
支援の手話
電話ならもっと聞きたいことや言いたいことがあったのですが。

集音器より数倍高価なデジタル補聴器ですので、きっと聞こえるに違いない…と、あまり詳しくご存知ない方はカン違いしても仕方ありません。
商売で利益を得るために販売しています。購入された方は高い勉強代を払ったということになるのでしょうか。
(ある通販会社の例を挙げました。そうではない会社もあると思います。)

補聴器メーカーの合併

今日から元号が『玲和』になり、巷ではこの話題で持ち切りになっていますが、ここでは別な話題です。
シグニア補聴器メーカーの『シバントス』と『ワイデックス』の合併が正式に発表されましたので、その補聴器をお使いの方の中には、不安に思っている方も…。

シバントスという会社は聞き慣れないかもしれません。ブランド名で言うと『シグニア補聴器』となりますが、シグニアは以前の『シーメンス補聴器』を引き継いだものです。シーメンスはドイツのメーカーでしたが、シバントスはシンガポールに本社を構えています。
シグニア
WIDEX
新しい会社名は『WS オージオロジー』となりましたので、いずれその会社から新しいブランド名で、新しい補聴器が発売されるでしょうが、今お使いの補聴器が調整出来なくなるとか、修理出来なくなるといったことは起こりません。

販売店とメーカー間のやり取りは少し変わるかもしれませんが、補聴器ユーザー様にはほとんど影響はありません。
一部影響が出るかもしれないと予想されるのは…。

S社もW社もそれぞれ直系の販売店を持っています。その販売店の店名がどうなるのか、私たちにはその情報はまだありませんが、店がなくなるということは考えられません。
ただ、同じ地域の近くの場所に、S系の店舗とW系の店舗が隣接している場合には、どちらか一つに統合するということはあるかもしれません。

そのような店で購入された方は「次回からは〇〇の店へ行くようにしてください」と案内を受けることになるでしょう。
少し遠くなって不便になる方があるかもしれませんが、もしかしたら、今までより近くの店を案内されて、通うのが楽になるという方がいらっしゃるかもしれません。
シンガポール
店が替わったとしても、これまでと同じサービスは受けられるはずですので、安心していただいて良いと思います。
デンマーク
10年ほど前にP社とR社の合併の話が出た時に、その2社間ではほぼ合意していたにも関わらず、その2社が合併してしまうと、巨大な補聴器メーカーが出来上がってしまうということで、それはよろしくないという回りからの話が大きくなり、合併話しが立ち消えになったということがありましたが、今回はわりとすんなりといったようです。
日本ではS補聴器もW補聴器も人気のあるブランドですので、おそらくシェアとしてはNo.1のメーカーになるはずです。
世界では3番目のメーカーだと思いますが、日本の補聴器業界は少し様変わりするかもしれません。

そして、もう一つ気になるのが音質というか、処方について。
聴力レベルによって、このような音の強さが良いとか、低域は抑えて高域の音を伸ばすとか、その逆に低域の音を強めにして音量感を出すとかという、どういう考え方でどのように音を作るかという処方が、両社はわりと離れた考え方のようですので、今後どのようにしていくのかが、非常に興味深いものがあります。

耳あな型補聴器は簡単

お年寄り
私が補聴器専門店を開業してちょうど1年になります。
それまでは10年以上、補聴器メーカーに勤めていました。その前は…といいますと、3年間ほど今と同じ仕事で、難聴の方に補聴器を販売する仕事をしていました。

15年ほど前に補聴器の仕事を始めたころは、耳あな型は取り扱いが難しく、耳かけ型のほうが楽に取り扱える。ただ、耳あな型は目立たないが、耳かけ型は長い髪で隠れる場合は良いが、そうでなければやや目立つと言われていました。

ところが、オープン専用の耳かけ型補聴器の登場で、耳かけ型は「こもらず目立たないがやや扱い難い」に。そして、耳あな型については…。ハウリング抑制の進歩によって外耳道に対して少し小さめに作れるようになって耳に入れやすくなり、耳かけ型と比較して扱いやすいと言われるようになりました。
難しいの手話
※「オープン」とは「オープンフィッティング」のことで、 補聴器を耳に着けた時に耳を塞がないタイプ。耳を塞いでしまうのを「クローズ」と呼びます。
以前は、オープン専用の補聴器がありましたが、最近の耳かけ型は、高度~重度難聴用で、クローズにしか対応していない補聴器を除き、1台でオープンにもクローズにも出来るものがほとんどです。

そして最近、同じようなお客様が続きました。80才代後半または90才代の方で、補聴器は使ったことがなく、聴力はごく平均的な老人性難聴。低域の聴力はあまり低下していませんので、こもらないオープンの耳かけ型で試聴をしていただきますが、聞こえに満足していただけても、ご自身で自分の耳に補聴器を着けることが難しく、今後時間をかけて練習をしてもらったとしても…。
オープン
クローズの耳かけ型のほうがやや簡単なので、そちらで試していただくとなんとか着けられるのですが、それでも結構大変で。
ところが、型は合ってはいませんが、ダミーの耳あな型をお渡しするとスムーズに着けることが出来ます。

耳あな型補聴器の説明をして、きこえや装用感に問題がなければご購入いただくことを前提に、耳あな型を作製して試していただくことに。(もし問題があれば返却していただきます)

以前は耳あな型はこもるというのが欠点でしたが、最近は、こもり感をさらに軽減出来るものが、メーカーによってはいろいろと揃っています。
クローズ
案の定、やっていただくと補聴器の着脱はスムーズで、問題なくご購入いただけたというケースが、何件か続くということがありました。

オープンの耳かけ型を耳に着ける場合、
①補聴器本体を耳に乗せる(掛ける)
②耳せん(イヤモールド)を外耳道に挿入する
③ストッパーをかける

クローズの耳かけ型の場合は、
①補聴器本体を耳に乗せる(掛ける)
②耳せん(イヤモールド)を外耳道に挿入する
耳あな型
どちらも練習すれば①はわりと早い段階で出来るように。
ところが、②の作業が上手くいかないことが多く、②の作業をやっていると補聴器本体が耳から外れてしまいます。(70才代では何も問題なく出来る方がほとんどです。)

耳あな型耳あな型はというと、
①補聴器本体を外耳道に挿入する。 
それだけです。

最初に補聴器の持ち方さえ覚えていただければ、耳に入れるのが難しいという方はほとんどいらっしゃらないように思います。

耳あな型は使いやすいぞ~!!

補聴器と医療費控除

検索結果
ネットの検索エンジンで「補聴器」と打ち込むとキーワード入力補助のトップに、“医療費控除”が出てきます。(多分、この時期だけの現象でしょうが)

以前は、補聴器を購入した場合でも、その費用は医療費控除の対象ではありませんでした。(一部、医療費控除の対象となる場合もありましたが)

それが2018年より制度が変わり、補聴器購入費も医療費控除の対象となりました。
ただし、どんな場合でも認められるわけではありません。
お金の手話
その話をする前に…。
補聴器を購入する場合、直接に補助金が出る制度が3つあります。

①障害者総合支援法の制度
障害者手帳(聴覚障害)を取得しているか聴覚系難病認定の方
②労災の制度税金
③軽・中等度難聴児に対する助成

①と②は国の制度ですので全国同じですが、③は各自治体が設けている制度ですので、
自治体によりその内容は異なります。

老人性難聴など①~③に当てはまらない方は、助成を受けることは出来ません。
ですが、確定申告をすることによりすでに払った税金の中から、補聴器費用の一部を戻してもらうことが出来る場合があります。
医療費控除を受けるには何が必要かというと…。
まず購入前、補聴器相談医の診断を受けなければなりません。
補聴器相談医は一番多い東京都で約400人、最も少ない県で20数人が登録されています。

そこで、補聴器適合に関する診療情報提供書を書いてもらいます。
その書類の中に、「補聴器を必要とする主な場面」という項目で、

□医師等による診察や治療を受けるために直接必要

という医師がチェックを入れる欄があります。
ここにチャックを入れてもらえない場合、補聴器購入費は医療費控除の対象になりません。

診療情報提供書は認定補聴器専門店か、認定補聴器技能者がいる補聴器販売店に提出しなければなりませんので、提出した際にコピーを取ってもらいましょう。

そのコピーしたものと、補聴器購入時の領収証の二つが、確定申告を行う際に必要となります。
どちらも提出する必要はありませんが、税務署から求められた場合には提示しなければなりません。
相談の手話
ちなみに①補聴器相談医、②認定補聴器専門店、③認定補聴器技能者がいる補聴器販売店はそれぞれインターネットで調べられます。

①は「補聴器相談医」で検索すると耳鼻咽喉科学会HPの補聴器相談医名簿のページが出てきますので、そこで見ることが出来ます。

また、テクノエイド協会HPの補聴器関係のページで②及び③を、補聴器技能者協会のHPで③を調べることが出来ます。

補聴器の価格帯別構成比

昨年一年間で出荷された補聴器の価格帯別の割合が出てきました。
構成比は下のグラフのようになっています。
グラフ
この価格はカタログに掲載されているメーカー希望小売価格になります。
店舗によっては多少値引きして販売されている場合もありますが、値引き前の価格ですので、実際の販売価格帯とは少し違ってきます。
また、両耳同時購入の場合、単純に片耳価格×2ではなく、割安なメーカー希望小売価格が設定されている場合もありますが、それも割引前の価格で計算されています。

充電タイプの補聴器では、充電器の金額は引いた価格になっており、また、器種によってはオープン価格で希望小売価格の掲載がない物もありますが、それはこのグラフには含まれていません。

10万円以下の中では、総合支援法対応器種とポケット型で約半分。
補聴器の出荷台数で耳かけ型は耳あな型のおよそ2倍の数になっていますが、どの価格帯でも耳あな型と耳かけ型の比率はおよそ1:2になっています。(10万円以下の価格帯を除く)

以前は、耳あな型は少し高価格になる傾向がありましたが、現在ではその傾向はほとんどなくなってきているようです。

※10万円以下の耳あな型は元々少ないので、その価格帯では耳かけ型の比率が大きくなっています。
金額の手話
小金井補聴器でも価格帯の比率はほとんど変わりません。平均で約20万円、高価な補聴器では50万円を超えます。

一生に1回だけ購入すればずっと使用出来るというのであれば良いのですが、数年で買い換えが必要になってくるのにこの価格です。
日本では補聴器の普及が進んでいないことはこれまでも言ってきました。2018年は2017年と比較して4%伸びていましたが、10年前と比較して27.1%。年平均にしてやっと2%を超える程度しか伸びていません。
販売台数が増えてくれば、当然価格は下がってくると思いますが…。

売れないから価格が下がらないのか、価格が下がらないから売れないのか、
悪循環が起きているのでしょうが、補聴器業界が力不足なのは明らかです。
販売数が伸びれば、価格は今の半額くらいになってもいいのではと思っています。
そんな時が早く来るよう、多くの方に補聴器を使ってみたいと思ってもらうために、

まだまだ考えなければならないことがいろいろとあるようです。

JAPAN TRAK2018その④

早いの手話
多くの質問があるこの調査ですが、興味深いものがあと二つあります。

早期一つは補聴器を使用している方への質問で、補聴器をもっと早く使い始めれば良かったと思っている方が54%いるということです。
理由は、より快適な社会生活が送れたとか、より安定した精神状態でいられたであろう等、いくつか挙げられていました。

私もお客様の応対をしていて、もっと早くに補聴器について考えてもらえていれば…と思ってしまうことは非常に多くあります。
まず、補聴器の着脱ですが、個人差も大きいですし、あくまで一般的にということで。

補聴器の開始時期が70代前半くらいまでであれば、それほど問題なく補聴器を着けることができます。
慣れるのも比較的早いようです。
快適の手話
これが、70代後半から80代に入ってくると。
補聴器を着けるということだけで結構苦労する方が多く、慣れるまでも時間がかかってしまいます。

80代後半から90代で初めて補聴器をという方は、練習して自分で補聴器を着けられるようになる方もいますが、自分で着けるということは、あきらめなければならないことも多いです。
90歳を超える方でも、装用歴20年という場合には、補聴器を自在に扱っていますので、慣れてさえいれば90歳の方でも問題ありませんが、90歳で初めてとなると、誰かの手助けは必要になると思います。

それから、理由がもう1つあります。
難聴を放置しておくと、明瞭度が下がってしまうことが多いこと。
ハッキリ聞き取る能力そのものが低下しますので、補聴器を使用して聞こえるようになっても、聞き取るということは難しくなります。
そのため、補聴器の効果もあまり感じられなくなります。
安定の手話
年齢とともに聴力が低下した難聴は、聴覚そのものを治療で治すことは出来ません。

ですが、だからと言って、放置しておいていいものではありません。
早い時期から補聴器等できこえを改善させ、聞き取る力を維持することはとても重要となります。
それから、もう一つの興味深い調査結果は…。
日本では補聴器の満足度が低いことは書きましたが、両耳難聴の方で、補聴器を両耳に装用している方と、片耳装用の方とでは大きな差が出たということです。

両耳装用では42%の方が満足しているのに対して、片耳装用で満足している方は24%になっています。

静かな場所で2~3人の会話であれば、片耳装用でも補聴器の効果は感じられますが、大人数の会話であったり、騒がしい場所であったりした場合には、両耳と片耳では補聴効果に大きな差が出ますので、満足度の差も大きくなったものと思います。
乾杯

JAPAN TRAK2018その③

説明の手話
日本での補聴器満足度は38%で、ヨーロッパ諸国の半分程度になっています。

満足度が低いことのもう一つの理由は…。

未熟なフィッターが多いことと関係してくるのですが、お客様へのしっかりした説明ができないために、お客様が補聴器に対して過度な期待をしてしまっていることです。
このホームページの「きこえについて」の箇所で書きましたが、お客様の耳のきこえの状況が把握できれば、補聴器を装用してのきこえの目標が設定できます。その目標は、決して何でも聞き取れるということではありません。

お客様の耳のきこえの状況を把握するには、語音聴力測定が必須となります。

補聴器をしない裸耳での語音測定と補聴器を装用しての語音測定の両方が必要です。
快適の手話
これが、70代後半から80代に入ってくると。
補聴器を着けるということだけで結構苦労する方が多く、慣れるまでも時間がかかってしまいます。

80代後半から90代で初めて補聴器をという方は、練習して自分で補聴器を着けられるようになる方もいますが、自分で着けるということは、あきらめなければならないことも多いです。
最初から70点のきこえにすることは難しいですが、補聴器装用を開始したばかりのころは50点のきこえだとしても、70点を目指して調整していくことを説明し、一ヶ月後に60点、二か月後に65点、三か月後に70点のきこえになれば、ある程度は満足していただけるのではないでしょうか。

ところが、70点を本来の目標とするお客様に対して、そのことを告げないでいると、ほとんどのお客様(及びそのご家族の方)は、補聴器を着ければ何でも聞こえる(聞き取れる)と思いこんでいます。

つまり補聴器で100点のきこえが得られると…。

そして、上手く調整して70点のきこえが得られたとしても、100点取れると思っているお客様は70点のきこえでは満足することはありません。
当てるの手話
同じ70点のきこえでも、目標は70点で納得されている方は、「70点取れるようになった」という気持ちで補聴器を使っていただいています。

100点のきこえになるはずと思っている方は「まだ70点のきこえにしかならない」という気持ちで会話をしています。
同じ70点のきこえでも聞こうとする意欲が違い、結果的に聞き取れる内容にも違いが出てくるのではないでしょうか。
そういう2つの理由で補聴器に満足しない方が多く、それを口に出して周りの方に言うことになりますので、難聴になってきた補聴器未経験の方々にも「補聴器ってダメらしいね」という風潮が広がり、補聴器を使ってみようという方がなかなか増えない原因の一つになっているのではと思います。

JAPAN TRAK2018その②

満足度
ジャパントラックでは、補聴器使用者に対して補聴器の満足度についての調査も行っています。

補聴器の満足度を7段階に分けて
①大変満足、②満足、③やや満足
④ふつう
⑤やや不満、⑥不満、⑦大変不満
のどこに自分が当てはまるか。

満足・不満結果は、
①~③の満足が38%ある反面
⑤~⑦の不満も34%です。
この数字も2012年、2015年と比較して進歩はしていません。
ヨーロッパでは満足度が低い国でも70%は超えていて、80%を超えている国がいくつもあります。

この満足度が低いことと、難聴を自覚しているのに補聴器を使わない方が85%以上になっていることは、大きく関連しているのではないでしょうか
不満の手話
これはあくまで個人的な意見ですが、満足度が低い理由は、大きく2つあると思います。

一つは補聴器を販売したり調整を行う人、つまりフィッターに未熟な人が多いために、しっかりした調整が行えていないこと。
補聴器が販売されている多くの国では、フィッターになるには資格が必要です。
日本では、その資格制度がありません。
「認定補聴器技能者」という資格はありますが、まだ公的な資格ではありませんし、その資格など持っていなくとも補聴器を販売することは可能です。
慣れるの手話
店舗に一人、医療機器の販売管理者がいて、経験(補聴器の知識がそれほどなくても医療機器販売管理者になることは可能です。)
店が都道府県(実際は管轄の保健所)に管理医療機器販売業届を行っていれば、その店の誰でもが補聴器を販売することができます。

店によっては、「私が補聴器を販売するの?」と自分でも技術不足や知識不足を認識しているにも関わらず、店の都合で仕方なく補聴器販売を担当させられている人を何度か見たことがあります。
知識を貯めこんだだけで上手くいく世界ではありませんが、最低限の知識は持っていてほしいものです。
ですが、それを持っていない人が多いのも事実です。

最初から経験豊富なフィッターはいませんので、勉強はしていても経験不足が理由で上手くフィッティングできないのは、専門ある面では仕方ないのかもしれません。(ただし、プロのフィッターとしては いつまでもそんな言い訳はできませんし、装用者にとっては仕方ないでは済まされないことだとは思います。)
専門の手話
ただ、経験が足りないだけのフィッターであれば、経験を積むごとに、100%とはいきませんが、ある程度満足していただけるような対応は、徐々にできるようになるはずです。

残念なのは、向上心がなくフィッターとは呼べないような方も補聴器を販売していることです。
そのような販売員は、お客様が満足できるような対応は難しいと思います。
それがお客様の満足度が低い一つ目に考えられる理由です。

長くなりましたので、もう一つの理由についてはまた次回にしたいと思います。

JAPAN Trak 2018その①

日本の手話
日本ジャパントラックというのは、日本補聴器工業会が主体となって行う補聴器や聞こえについての様々なアンケート調査です。

欧米では既に行われていた調査を日本でも2012年と2015年に行ってきました。
そして3回目の2018年の結果が昨年末に公開されました。
欧州の手話
多くの質問がありますので、ここでは主なものだけを紹介します。

まず、調査は年齢や性別のバランス、地域の分散などが日本の全人口を反映するように割り当てられた中から、13,710人の回答を得られています。
ドイツの手話
そこから推定されている数字ですが。
日本では、自分で難聴を自覚している人(おそらく難聴だろうと思っている人を含む)が11.3%で、この数字は1~2回目の調査結果とほとんど変わっていません。
また、諸外国と比較しても大きな差はありません。
フランスの手話
ただ、難聴と思っている人にのみに質問した結果が…。

あなたは補聴器を持っていますか?という質問に対して、「ハイ」と答えた人は14.4%。この数字も1~2回目の時と変わっていません。
つまり、補聴器の普及は進んでいないということ。
イギリスの手話
ヨーロッパでは40%を超えている国が多く、しかも調査する度に増加しています。
比較的低い数字のアメリカでも30%を超えており、日本ではその半分にも達していません。

日本の補聴器業界の努力不足や補聴器に対する偏見などが関係していると思います。
イタリアの手話
ヨーロッパの数字より低いことは予想していましたが、2015年の結果と比較して変化がないということに少しショックを感じています。

他に満足度などの結果が出ていますので、そちらについてはまた次回に。

補聴器世界6大メーカー

補聴器メーカーには世界6大メーカーといわれているものがあって、
世界中の補聴器の90%以上がそれらのメーカーのものになっています。
フォナック
補聴器の音質、性能や技術的な高低をここで判断することは出来ませんが、それぞれのメーカーごとに特徴があります。
オーティコン
また、単に補聴器の聞こえのみではなく、各種ワイヤレス機器などにより、テレビやオーディオ機器からの音を補聴器で直接聞いたり、あるいは中継器を使用して聞くことが出来る器種もあります。
シグニア
それから、携帯電話の相手の声を無線で飛ばして補聴器で聞くことや、スマ–トホンと補聴器を連携させて電話の会話音声だけではなく、音楽や動画の音声なども補聴器で直接聞くことが出来るものもあります。
リサウンド
聞こえや音質に関係しないと思いますが、防水・撥水・防塵などの機能をもっていて故障しにくくなっている補聴器なども主流になってきています。
スターキー
メーカーごとの補聴器について、私の主観も混じることがありますが、次回から書きたいと思います。
ワイデックス
6大メーカーというのは下のメーカーになります。

会社の規模ではなく世界で販売されている数が多い順番に上から並べます。
ただ、シグニア補聴器のシンバントス株式会社と、ワイデックス補聴器のワイデックス株式会社が合併するという話も出ていますので、今後は勢力図も変わってくるのではないでしょうか。

補聴器世界6大メーカー

  • ・フォナック
  • ・オーティコン
  • ・シグニア
  • ・リサウンド
  • ・スターキー
  • ・ワイデックス