差別解消条例(東京都)
6月26日のこの欄で、障害者差別解消法について少しだけ触れました。
と言っても、触れたかどうだか分からない程度でしたが。
差別2016年4月1日に施行されたのが国の法律で『 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 』長いので障害者差別解消と呼ばれています。
この法律には大きな柱が2つあって、それは
①不当な差別的取扱いの禁止
②合理的配慮の提供
①は行政機関や事業所、お店などで禁止されています。
例えば、車いすの方の参加をお断りするとか、耳が聞こえないことを理由にアパートを貸さない、盲導犬を連れた目の不自由な方の入店を断るなど、そういうことはしてはいけませんということです。
②は行政機関など公的な場所では義務としていますが、一般の事業所や店では義務ではなく、できるだけ努力しなさいということになっています。
例えば公的な場所では、階段など段差がある場合はエレベーターやスロープを設けるのが望ましいのですが、費用面等でその設置が難しいとしても、車いすの方がいらっしゃった場合は、職員が対応して誘導することや、聞こえない方の受付業務を行うために手話通訳者を常駐させることは難しくても、筆談するための器具をそろえておくなど、そういうことが求められています。
先日ご紹介しました遠隔手話通訳を利用するところが増えているのも、差別解消法が大きく関係しています。
ただ、民間事業者は努力義務になっているだけで、“やりなさい”ということにはなっていません。
そこが東京都の条例と違います。
「障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」今年の10月1日に施行された東京都の差別解消条例です。
この条例では、不当な差別的取扱いの禁止については国の法律と同じですが、合理的配慮の提供については国の法律と違い、行政機関だけではなく、民間事業者にも義務としています。
一般のお店や会社でも、差別をしなければいいということではなく、“配慮をしないことは差別をしているのと同じ”という考えを持つ必要があります。
パンフレットやリーフレットなど詳細は、下記の東京都福祉保健局のホームページで確認することができます。
≪東京都福祉保健局のホームページはこちら≫
遠隔手話サポート
最近、遠隔手話サポートを導入している店舗や会社が増えてきています。
携帯電話ショップ、観光案内所、銀行、カード会社、ホテル、駅、空港などのカウンターや総合受付、総合案内所などに、聞こえないお客様がいらっしゃった時、お客様と手話が分からないスタッフの間に入って、テレビ電話で手話通訳を行うサポートです。
役所でもタブレット端末を置いて対応しているところが増えているようです。
自前で専門の手話通訳スタッフをそろえていてその通訳者が対応する会社もあれば、遠隔サポート専門の会社と契約し、そのシステムを導入している会社もあります。
筆談では上手く伝わらなかったり、時間がかかったりしますので、お客様にとっても、カウンター等で対応するスタッフにとっても、メリットは大きいと思います。
ただ、そこで通訳を行っている通訳者にとっては、画面上で聞こえない方の顔とか手話しか見えないわけですから、周りの情報が得られず、現場で対面での通訳と比較すれば、通訳がスムーズにいかないことも出てくるのかもしれません。
そこを理解しておくことは必要だと思います。
電話リレーサービス
皆さんは電話リレーサービスをご存知でしょうか?
耳の不自由な方が電話をかける場合に、手話や文字を中継所で音声にして電話相手に伝えてくれるものです。
もちろん電話相手の声は手話や文字に換えて伝えてもらえます。
日本では2011年に始まったサービスで、徐々に広まってきてはいますが、まだ、いつでも誰でもが使えるサービスではありません。
主要先進国では、日本が一番遅れているといえるでしょう。
多くの国では公的なインフラの一部として整備されているので24時間対応です。
日本では、夜間の対応はできていません。また現在は、使用できるのは、事前に登録をしている方に限られます。
予算の問題が大きいのでしょうが、それが確保できたとしても、手話通訳者の数が足りないという問題もあります。
それでも、少しずつ便利になっているのは事実で、このサ-ビスで様々な問い合わせを行ったり、電話でできる手続きであれば、このサービスを使って行うことができますし、何かを注文したり、レストランの予約なども可能です。
ただ、時々電話先の相手から(保険会社やカード会社など)「今電話されているのは○○様ご本人ですか?」と聞かれることがあります。
このような時にリレーの担当者は、「私は手話通訳者です。」と答えますので、そうすると、「ご本人でなければお話しすることはできません」と必要な手続きをやってもらえない場合もあります。
公的なインフラとして整備され、このシステムが広く認知されるようになり、このサービスが信頼されるようになれば、こんな問題もなくなってくるのではないでしょうか。
また、本来はそのような使い方は想定されていなかったのでしょうが、山や海で遭難された方がこのシステムを利用して救助を依頼し、命が助かったということも起こっています。
そんな使い方は、しなくて良いのであればそれが一番良いのですが、『いつでも誰でも…』が早く実現することを願っています。
補聴器世界6大メーカー
補聴器メーカーには世界6大メーカーといわれているものがあって、
世界中の補聴器の90%以上がそれらのメーカーのものになっています。
補聴器の音質、性能や技術的な高低をここで判断することは出来ませんが、それぞれのメーカーごとに特徴があります。
また、単に補聴器の聞こえのみではなく、各種ワイヤレス機器などにより、テレビやオーディオ機器からの音を補聴器で直接聞いたり、あるいは中継器を使用して聞くことが出来る器種もあります。
それから、携帯電話の相手の声を無線で飛ばして補聴器で聞くことや、スマ–トホンと補聴器を連携させて電話の会話音声だけではなく、音楽や動画の音声なども補聴器で直接聞くことが出来るものもあります。
聞こえや音質に関係しないと思いますが、防水・撥水・防塵などの機能をもっていて故障しにくくなっている補聴器なども主流になってきています。
メーカーごとの補聴器について、私の主観も混じることがありますが、次回から書きたいと思います。
6大メーカーというのは下のメーカーになります。
会社の規模ではなく世界で販売されている数が多い順番に上から並べます。
ただ、シグニア補聴器のシンバントス株式会社と、ワイデックス補聴器のワイデックス株式会社が合併するという話も出ていますので、今後は勢力図も変わってくるのではないでしょうか。
-
・フォナック
-
・オーティコン
-
・シグニア
-
・リサウンド
-
・スターキー
-
・ワイデックス
デフリンピック②
先日、2017年のデフリンピックで金メダル2個を獲得した山田真樹選手の講演会に参加しました。
山田さんは男子陸上短距離の選手です。
山田選手は200mと400mリレーで金メダルと、400mでも銀メダルを獲得しました。
日本が獲得した金メダルは全部で6個で、山田選手の他は水泳で3個、バレーボールで1個です。
彼は大学生なので今は良いということですが社会人の選手の練習環境などは厳しいようです。
メダル日本でのデフリンピックの注目度は、今はそれほどでもなくてスポンサーも少なく、参加する選手や役員は、費用面で大変苦労をしているようです。
種目によって多少の差はあるようですが、数十万円から百万円くらの自己負担は必要になるということ。
オリンピックやパラリンピックでは、自己負担金など聞いたことがありません。(私が知らないだけであれば、すみません)
ちょっと、上手く言えないというか、上手く書けないかもしれませんが…。
オリンピックについては世界最高レベルの競技を見せてもらうことができます。
パラリンピックの場合は、自然と選手を応援したくなってしまいます。
それでオリンピックやパラリンピックの選手には、スポンサーが付いたり国からの補助金も。
ところがデフリンピックは、見ただけでは障害者に見えない人がやっていて、でもオリンピックのレベルと比較すると…。そういうところが、なかなかスポンサーが増えていかない原因でしょうか。
今、ろう者の間では、2025年のデフリンピックを日本に招致しようとする運動があります。
デフリンピックを広く知ってもらうためには、良いきっかけになるのではないでしょうか。
ただ、同じ年に大阪万博開催が決まったので、そっちに注目が集まってしまうかもしれません。
もしかしたら、招致活動そのものが…。
ろう者自身が運営を行いながら発展してきたデフリンピックは、健常者が介在してくるパラリンピックには馴染めなかったようです。
オリンピックまた、パラリンピック委員会では、手話通訳を介してコミュニケーションを行わなければならないろう者の意見を、あまり聞こうとしなかったとも言われています。
デフリンピック①
デフリンピックという大会があることを皆さんはご存知でしょうか。
聴覚障害者のオリンピックです。
障害者のオリンピックといえば、パラリンピックが有名ですが、それには聴覚障害者は参加していません。
パラリンピックは1960年に第1回大会がローマで開催されました。
その後、国際パラリンピック委員会が正式に発足したのは1989年になります。
パラリンピック一方、国際ろう者スポーツ委員会が運営しているデフリンピックは、1924年から開かれていて、100年近い歴史を持っています。
パラリンピック委員会が発足した時には、一旦はろう者も参加していましたが、6年後には脱退しています。
ろう者自身が運営を行いながら発展してきたデフリンピックは、健常者が介在してくるパラリンピックには馴染めなかったようです。
オリンピックまた、パラリンピック委員会では、手話通訳を介してコミュニケーションを行わなければならないろう者の意見を、あまり聞こうとしなかったとも言われています。
小金井手話広場11月
10月は会場の都合で開催できませんでした。
今月も、いつもの第3金曜日ではないのですが、30日の金曜日に行います。
今回のゲストは、日本手話講師、国際手話講師など、様々な活動をされている高桐尊史氏。
愛称「コナン」として有名ですね。
手話広場にも年に1回くらいは毎年来ていただいています。
今回はどんな話を…
いつものように武蔵小金井駅前の宮地楽器ホール1Fマルチパーパススペースで、午後7時からやっていますので、皆さんの参加をお待ちしています。
遠くから…
「手話通訳士のいる補聴器専門店」
小金井補聴器は、そういう看板を掲げています。
これは、普段は手話でコミュニケーションを取っているという方で、補聴器を持ってはいるが、補聴器販売店のスタッフとコミュニケーションがスムーズにいかないことで、補聴器の調整が上手くいかず、補聴器を十分に活用できていない方がいらっしゃるからです。
日本語を第一言語にしている方にとって、日本語の音声を使用しないで会話をすることを考えると、千葉筆談やジェスチャー、その他の方法でも、思っていることを十分伝えることが出来ないとか、そもそも面倒くさいといったことがあると思います。
それは、手話を第一言語にしている方が、手話以外の方法でコミュニケーションを取らなければならないのと同じことになります。
販売店の方と十分意思疎通が出来ていて、補聴器の調整が上手くいっている方は問題ないのですが、そうではなく、せっかく持っている補聴器があまり役に立っていないという方がいらっしゃいましたらぜひ、ご来店いただければと思います。
遠くからおいでいただくのは、時間もかかりますし本当に申し訳ないのですが、現在は東京以外でも、神奈川・千葉・埼玉から、遠い方だと片道2時間以上もかけて通って来ていただいています。
(当店は国内補聴器メーカーの取り扱いはありません)
義援金
小金井補聴器に来店いただいた方はご存知でしょうが、店内のカウンターの上に「くまモン募金箱」があります。
そこに、補聴器電池が1パック売れる度に25円を入れています。
1パックの価格が250円ですので、その10%。
また、ご来店された方がご自分の財布から小銭を入れていただくこともあります。
先日、中のお金を数えてみたら3893円になっていました。
半端な金額ですので少し足し 4000円にして熊本地震の義援金として寄付しました。
少額ではありますが、何かの役に立てれば良いなあと思います。
ご協力いただいた皆様、電池をご購入いただきました皆様、ありがとうございました。
今後もしばらくは続けていきたいと思っています。
障害者総合支援法での補装具費支給②
8月29日のこのコーナーで、総合支援法での補聴器について書きました。
法律内容は、平均聴力が右80数dB、左90数dB。障害者手帳は当然4級(高度難聴)。
これまで福祉での補聴器購入の経験は無し。
両耳に自費購入の補聴器装用中だが左補聴器故障で、新規に福祉での補聴器購入希望。
医師の意見書では左耳に重度難聴用補聴器が必要。
医師からの意見書通り、重度難聴用補聴器の申請をしたのですが、東京都の審査で手帳4級なのに重度用ということでひっかかってしまいました。
通常は書類審査だけで認められることが多いのですが、今回はお客様が審査に出向くことになりました。
結局正式に重度用補聴器で認められたのですが、見積書を提出してから認められるまで、2ヶ月以上かかってしまいました。
今回の件で私は何も言うことはありませんが、普通、今回のような聴力のケースでは、
聴力の良い方の耳に福祉での補聴器、聴力の低い方の耳には補聴器を装用しないか、自費で補聴器を買いなさいということになります。
聴力の低い耳が補聴器の効果がないほど悪い場合は別ですが、両耳装用の効果が認められる方に対しても、福祉での助成が片耳分しか認められないというのは、考え方が古い(おかしい)ですよねえ…。